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AI導入に使える補助金の考え方(デジタル化・AI導入補助金など)

AIを入れるときに補助金は使えるのか。デジタル化・AI導入補助金の仕組み(IT導入支援事業者との申請、登録されたITツール、事業計画の要件)と、補助金ありきで始めないための順番、ほかの制度の探し方を、2026年11月2日時点の情報でまとめました。

公開 2026年11月2日

この記事は、2026年11月2日時点で確認できた情報をもとに書いています。補助金の公募回、金額、条件は変わります。申請を考えるときは、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領を確認してください。

「AIを入れるのに、補助金は使えますか?」。AIの活用を考えている社長から、最初に出ることが多い質問です。

中小機構(中小企業基盤整備機構)は、2025年12月に全国の中小企業の経営者・経営幹部1,000社へ、DXについてのアンケートを行っています。この調査では、DXの推進に向けて期待する支援策として、「補助金・助成金」が43.9%で最も高く、前回調査の41.6%から上がっています1。補助金への期待が大きいことが分かります。

ただ、補助金は「もらえるから何かを入れる」ためのものではありません。この記事では、AIの導入に関係する補助金のうち、代表的な「デジタル化・AI導入補助金」の仕組みと、申請の前に決めておきたいこと、ほかの制度の探し方をまとめます。

結論:補助金は「何に使うか」が決まってから考える

補助金を使うかどうかは、次の順で考えるのがおすすめです。

  1. AIで減らしたい仕事を1つ決める(見積、記録、問い合わせの返信など)
  2. 使い方と費用を固める(ツールの利用料、導入の費用、支援を頼む費用を分けて)
  3. その費用に使える補助金があるかを確かめる

順番を逆にして、補助金の対象になるツールから選ぶと、自社の困りごとに合わないものを入れてしまうことがあります。また、補助金には申請の書類づくりや事業計画、導入後の手続きがあり、時間もかかります。補助金がなくても続けられる金額か、という目で判断するのが安全です。

デジタル化・AI導入補助金のしくみ

中小企業がITツールを入れるときの代表的な補助金が、「デジタル化・AI導入補助金」です。以前の「IT導入補助金」の名前で覚えている方も多いかもしれません。公式サイトの問い合わせ窓口の名前も「デジタル化・AI導入補助金/IT導入補助金2025・2024・2023後期事務局」となっていて、IT導入補助金と同じ事務局が扱っています2。

以下では、2026年8月28日付の公募要領(通常枠)と、公式サイトの通常枠のページをもとに、AIの導入を考える会社に関係する点を整理します。

申請は「IT導入支援事業者」と一緒に行う

この補助金は、IT導入支援事業者と中小企業・小規模事業者等が共同事業体となり、事務局に対して各種申請を行う仕組みです3。

IT導入支援事業者とは、中小企業・小規模事業者等にITツールを導入し、補助事業を円滑に進めるための支援を行う事業者で、事務局に登録申請をして審査で採択された者をいいます3。つまり、会社だけで申請するのではなく、ツールを提供・導入する事業者と組んで進めます。

立場 おもな役割
会社(申請する側) 使い方を決める。事業計画を作り、実行する
IT導入支援事業者 登録されたITツールを提供・導入し、補助事業が円滑に進むよう支援する
事務局 申請を受け付ける

対象は「事務局に登録されたITツール」

補助の対象になるITツールは、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録された、労働生産性の向上に役立つソフトウェア(AIを含む)・オプション・役務・ハードウェアの総称とされています3。

AIもソフトウェアに含まれていますが、どんなAIでも対象になるわけではありません。公募要領では、「汎用プロセス」だけを持つITツールは単独では交付申請できず、決められたほかのプロセスと組み合わせて申請する決まりになっています3。ここから、ふだん使いの生成AIの月額契約だけを申請に出せるとは限らない、と読み取れます。使いたいツールが対象かどうかは、IT導入支援事業者に確かめます。

3年間の事業計画が必要

申請には、事業計画が要ります。公募要領では、交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画を策定して実行し、1年後に労働生産性を3パーセント以上向上させることなどが要件として挙げられています3。

さらに、150万円以上の補助金を申請する場合は、事業計画期間に、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の年平均成長率を3パーセント以上とすることと、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすることも求められています3。

これらの要件は、2026年8月28日付の公募要領(通常枠)に書かれているものです。その後の公募回で変わっている場合があるので、申請の前に最新の公募要領で確かめてください。

事業計画が要るということは、「AIを入れて、どの仕事の時間がどれだけ減り、空いた時間で何をするか」を数字で説明できる必要がある、ということです。ここでも、使い方が先に決まっていることが前提になります。

補助率と補助額(2026年11月2日時点)

公式サイトの通常枠のページでは、補助率は1/2以内、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下とされています2。

補助率が2/3以内になるのは、令和7年10月から令和8年9月までの間で3か月以上、令和8年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である、といった条件にあてはまる事業者です2。条件の細かい点は、公式サイトで確かめてください。

「プロセス」は、ツールが受け持つ業務の範囲の数え方です。使いたいツールがいくつのプロセスにあたるかは、IT導入支援事業者に確かめます。

補助率が1/2以内なら、補助の対象になる費用の少なくとも半分は自社の負担になります。対象にならない費用や、補助のあとも続く月々の利用料も合わせて、自社でいくら払うかを先に計算しておきましょう。

ここで紹介したのは、2026年11月2日時点で公式サイトに載っていた通常枠の数字です。公募の締切日は、この記事には書いていません。金額・条件・締切は変わることがあるので、申請の前に必ず公式サイトのスケジュールとお知らせ、最新の公募要領で確認してください。

ほかにも検討できる制度

AIそのものではなくても、仕事の効率を上げる道具や、人の育成に使える制度があります。ここでは名前と概要だけを紹介します。対象や金額は、必ずそれぞれの公式の案内で確かめてください。

中小企業省力化投資補助金:中小企業庁が所管する補助金で、補助対象の製品をまとめたカタログがあります4。業種によっては、カタログに載る製品が増えています。国土交通省の資料には、特に中小建設業者によるICT化に有効な製品を、中小企業省力化投資補助金(中小企業庁所管)の補助対象のカタログに追加した、と書かれています4。AIを使った製品が対象になるかは、カタログや公式サイトで確かめます。

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース):厚生労働省の助成金です。新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識や技能を習得させる訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する、とされています5。AIの使い方の研修が対象になるかは、この記事では確かめられていません。厚生労働省の案内で確認してください。

そのほか:小規模事業者持続化補助金や、都道府県・市町村が独自に設けている補助金が使える場合もあります。地域の制度は、自治体のホームページや、地元の支援機関に聞くと見つけやすくなります。

どの制度が自社に合うか分からないときは、公的な相談窓口や伴走者に相談しながら探すこともできます(AI活用は外注か、伴走か)。

補助金を使うときの進め方

補助金を使う場合の、おおまかな流れの例です。

  1. 業務を1つ決める:AIで減らしたい仕事と、今かかっている時間を書き出します。
  2. 費用を見積もる:ツールの利用料、導入の費用、支援の費用を分けて見積もりをとります。
  3. 使える制度を確かめる:IT導入支援事業者や公式サイトで、使いたいツールや費用が対象になるかを確かめます。
  4. 事業計画を作る:減る時間や生産性の見込みを、自社の実際の数字をもとに考えます。
  5. 申請する:IT導入支援事業者と一緒に申請します。
  6. 交付決定のあとで契約・導入する:申請が認められて交付決定が出てから、ITツールを契約・発注します(下の「気をつけたいこと」を参照)。
  7. 使いながら計画を実行する:補助を受けたあとも、事業計画を実行していくことが要件です(上の「3年間の事業計画が必要」を参照)。

気をつけたいこと

  • 契約・発注は、交付決定のあとで。 公募要領では、交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならず、契約、発注は交付決定後に行うこととされています3。「早く始めたいから先に契約しておく」は、補助金を使うなら避けます。
  • 補助金のために、要らない機能まで入れない。 補助があっても、自社の負担は出ます。使わない機能の分は、そのまま無駄になります。
  • 月々の利用料は、補助が終わっても続く。 ツールの利用料を、補助なしで払い続けられるかを先に確かめます。
  • 事業計画の数字は、無理のない根拠で。 計画どおりにいかなかったときにどう扱われるかも、公募要領で確認しておきます。
  • 「実質負担なし」という説明には注意する。 そう言われたら、何が補助の対象で、自社の負担がいくらになるのかを、書面で確かめましょう。
  • AIに入れる情報のルールは、補助金とは別に決める。 ツールを入れる前に、入力してよい情報を決めておきます(AI導入で失敗しないための7つの決めごと)。

申請の前のチェックリスト

  • 補助金がなくても、やる価値のある使い方になっているか
  • 使いたいツールが事務局に登録されたITツールか、IT導入支援事業者に確かめたか
  • 3年間の事業計画を、自社の数字で書けそうか
  • 契約・発注を、交付決定のあとに行う段取りになっているか
  • 月々の費用を、補助なしで払い続けられるか
  • 最新の公募要領とお知らせを、公式サイトで読んだか

補助金は、使い方が決まった会社の背中を押してくれる制度です。まずは「どの仕事をAIで楽にしたいか」を決めるところから始めましょう。具体的な申請の判断は、各制度の事務局や窓口にご確認ください。

参考にした資料

  1. 独立行政法人 中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2025年)アンケート調査報告書」(2026年2月。全国の中小企業経営者・経営幹部1,000社、Webアンケート、令和7年12月5日〜18日) https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202602_DX_report.pdf ↩

  2. 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(中小企業基盤整備機構)「通常枠 | デジタル化・AI導入補助金2026」(2026年11月2日確認) https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/ ↩ ↩2 ↩3

  3. 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(中小企業基盤整備機構)「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」(2026年8月28日版) https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_tsujyo.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7

  4. 国土交通省 不動産・建設経済局「改正建設業法『令和7年12月施行分』説明会」資料(建設業におけるICT導入・活用促進のための支援措置について、R7.11.1時点、2026年1月) https://roumuhi.mlit.go.jp/mlit-files/20260127_01.pdf ↩ ↩2

  5. 厚生労働省「人材開発支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html ↩

よくある質問

ChatGPTなどの生成AIの月額料金は、補助金の対象になりますか?

デジタル化・AI導入補助金の対象は、事務局に登録されたITツールです。汎用的な機能だけを持つツールは単独では申請できない決まりもあるため、ふだん使いの生成AIの月額契約だけで対象になるとは限りません。使いたいツールが対象になるかは、IT導入支援事業者や公式サイトで確認してください。

補助金の申請は、自社だけでできますか?

デジタル化・AI導入補助金は、IT導入支援事業者と会社が共同事業体になって申請する仕組みです。会社だけで申請するものではないので、使いたいツールを扱う支援事業者を探すところから始まります。そのうえで、3年間の事業計画は会社が自分の数字で考えます。

伴走支援の費用にも、補助金は使えますか?

制度と契約の形によります。デジタル化・AI導入補助金では、事務局に登録された「役務」もITツールに含まれますが、伴走支援の費用がそのまま対象になるとは限りません。どこまでが対象になるかは、IT導入支援事業者や公式サイトで確認が必要です。

今から申請して間に合いますか?

公募の回や締切は変わるため、この記事には日付を書いていません。公式サイトのスケジュールと最新のお知らせで確認してください。使い方を決める、見積をとる、事業計画を作る、といった準備には時間がかかるので、締切から逆算して早めに動くのが安全です。

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