業種別のAI活用

不動産のAI活用

物件紹介文、問い合わせへの返信、入居者への連絡。少人数の不動産会社に集中する「書く仕事」をAIで軽くします。

不動産の現場で、よく聞く悩み

  • 物件の紹介文を書けるのが社長だけ
  • ポータルとホームページで、同じ物件の文章を何度も書く
  • 内見や外出が続き、問い合わせ(反響)への返信が遅れる
  • 広告の言葉づかいの確認を、経験に頼っている
  • 社長の年齢が上がり、後を継ぐ人が決まっていない

不動産のユースケース(1件)

この業種でよくある状況

地域の不動産会社は、少人数で回しているところが中心です。国土交通省の資料によれば、不動産流通業は従業者10人未満の事業所が9割超を占め、不動産取引業の事業所(2016年)では従業者1〜4人が71.3%、5〜9人が20.2%でした1。宅地建物取引業者の数は、令和7年度末で133,727業者です2。

社長が売買の仲介も賃貸の管理もこなし、物件の調査、紹介文づくり、ポータルへの掲載、内見の案内、契約の準備までを数人で分け合う。日中は外に出て、事務所での書きものは夕方から、という一日も珍しくありません。賃貸の繁忙期には、空室の掲載と問い合わせへの返信が一気に重なります。

経営者の年齢も上がっています。国土交通省が2019年にまとめた資料は、帝国データバンクの調査を紹介しています。不動産業の社長の平均年齢は61.7歳で調査対象の業種のうち最高、後継者不在率も68.9%で、高齢化と後継者不在が喫緊の課題とされています1。

仕事の進め方は、紙と対面がまだ中心です。国土交通省が令和5年10月に宅建業の5団体の会員企業へ行ったアンケート(有効回答2390件)では、直近1年以内にIT重説(オンラインでの重要事項説明)の実績がある会社は11%、導入予定なしは70%でした3。

AIで変えやすい仕事

  • 物件紹介文の下書き:物件資料と現地メモから、ポータル用・ホームページ用・チラシ用の紹介文を作れます。広告の決まりに照らして確かめる流れも含めて、不動産会社の物件紹介文づくりを、AIの下書きと宅建士の確認で速く確かにで紹介しています。
  • 問い合わせ(反響)への返信の下書き:よくある質問への回答例をもとに、返信メールや内見の日程調整の文面を整えられます(電話・問い合わせ対応の悩み)。
  • 物件資料の整理:物件概要書や図面から、物件台帳の項目を読み取って表に整える手伝いができます。
  • 入居者・家主への連絡文:更新の案内、設備点検のお知らせ、退去の手続きの案内などを、分かりやすい文章に直せます。
  • 社内の決まりの整理:広告で使わない言葉の一覧や、掲載前の確認表を作るときの下書きに使えます(集客・情報発信の悩み)。

まだAIに任せにくい仕事

  • 重要事項の説明と契約の判断:宅地建物取引業法は、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士に、重要事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならないと定めています4。事務所ごとに、国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置くことも求められています4。調べた結果をどう伝えるか、契約の条件が適切かの判断も、資格者と担当者が行います。AIは書類の下書きや整理の補助にとどめます。
  • 広告の最終確認:国の解釈では、売る意思のない物件の「おとり広告」や、実在しない物件の「虚偽広告」にも、誇大広告等を禁じる宅建業法の規定が適用されるとされています5。AIは物件が成約したかどうかを知らず、強い言葉も書きがちなので、掲載の前に宅建士や担当者が物件資料と照らして確かめます。
  • 現地で見て分かること:建物の傷み、日当たり、周りの環境などは、現地を見た人にしか判断できません。
  • お客さまとの信頼関係:売主さんや家主さんとの長いつきあいや地域の事情は、社長や担当者の顔が見えることに価値があります。

最初の一歩におすすめ

いちばん効果が見えやすいのは物件紹介文の下書きです。過去の紹介文がいくつか残っていれば、1〜2ヶ月で形にすることを目安にしています。最初は件数の多い賃貸の空室から始めると、確かめる項目が少なく、慣れやすいでしょう。

次におすすめなのが問い合わせへの返信の下書きです。よくある質問の回答例を20〜30件ほど集めるだけでも、外出先や内見の合間の返信が楽になります。

広告や契約にかかわる具体的な対応は、所属の団体や不動産公正取引協議会など、所管の窓口や専門家にご確認ください。

参考にした資料

  1. 国土交通省「不動産業ビジョン2030 参考資料集」(2019年7月。事業所数は総務省「経済センサス」2016年、社長の平均年齢と後継者不在率は帝国データバンクの調査による) https://www.mlit.go.jp/common/001287962.pdf ↩ ↩2

  2. 国土交通省「令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」(2026年10月2日) https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00128.html ↩

  3. 国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課「不動産分野におけるDXの推進について(資料2)」(2023年12月) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001710694.pdf ↩

  4. e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(昭和二十七年法律第百七十六号)第31条の3(宅地建物取引士の設置)・第35条第1項(重要事項の説明等) https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176 ↩ ↩2

  5. 国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課「いわゆる「おとり広告」等の禁止の徹底について(国不動指第80号)」(2023年1月12日。宅地建物取引業法第32条関係の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を収録) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001738457.pdf ↩

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