業種別のAI活用

飲食店のAI活用

口コミ返信、SNSの投稿、外国語のメニュー、仕込みの量。少人数の店でも続けられる発信と事務を、AIで支えます。

飲食店の現場で、よく聞く悩み

  • ホールもキッチンも人が足りず、店主がほぼワンオペ
  • Googleマップの口コミに返信できていない
  • SNSの投稿が続かず、店の写真も古いまま
  • 外国人のお客さまに、メニューをうまく説明できない
  • 仕込みの量が勘頼みで、余らせたり切らしたりする

飲食店のユースケース(3件)

この業種でよくある状況

地方の食堂や居酒屋、カフェでは、店主と家族、数人のパートさんで店を回していることが少なくありません。仕込み、営業、片づけ、発注のあいまに、メニュー表の書き換えやSNSの投稿まで、店主がひとりで抱えがちです。

人の確保も大きな悩みです。民間の調査会社の帝国データバンクが2026年4月に行った調査(有効回答1万538社)では、「飲食店」で非正社員が不足している企業は59.1%でした1。

お客さまの店の探し方も変わっています。ニュートラルワークスが2025年5月に550名に行ったインターネット調査では、店を探す手段は「Googleマップ」と「Google検索」が60.2%で同率トップでした2。Googleマップで情報が少ない店を見て、「行くのをやめる/他の店を探す」と答えた人も18.9%いました2。民間の調査ですが、店の情報を整えておく大切さがうかがえます。

観光地に近い店では、外国人のお客さまへの対応も課題です。観光庁の令和5年度の調査では、訪日客が旅行中に困ったこととして、「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じない等)」が22.5%でした3。

AIの活用は、まだこれからの段階です。中小機構が2025年11〜12月に行った調査(AIの導入状況の回答1,647社)では、AIの導入率は「宿泊業、飲食サービス業」で18.0%、全体で20.4%でした4。

AIで変えやすい仕事

  • 口コミ返信と、SNS・Googleマップの投稿:写真とひと言から投稿文を、届いた口コミから返信の下書きを作れます。出すのは店主です。くわしくは飲食店の口コミ返信とSNS投稿を、スマホ×AIの下書きでアイドルタイムに片づけるをご覧ください。
  • 外国語のメニューと案内:日本語のメニューから、英語などの説明文を下書きできます。観光庁の補足調査では、困ったときに翻訳アプリなどのICTツールを使った訪日客が76%で、使った場面は「飲食店」が53%でした3。
  • 仕込み・発注の量の目安:過去の売上に天気、曜日、地域の行事を合わせ、似た日の実績から仕込み量の目安を出せます。農林水産省の推計では、令和6年度の外食産業の食品ロスは70万tとされています5。考え方は日配・惣菜の発注のユースケースと同じです。
  • 求人原稿:店の雰囲気や賄い、シフトの融通など、伝えたいことを聞き取って求人原稿にまとめられます(求人原稿のユースケース)。
  • 月の数字のまとめ:原価率や人件費を毎月同じ形でまとめ、先月との違いをAIが文章にします(月次の数字のユースケース)。

まだAIに任せにくい仕事

  • 食材とアレルギーの説明:AIの翻訳や説明は間違えることがあります。アレルギーや宗教上の配慮にかかわる表示は、店の人が一品ずつ確かめます。
  • 味と仕込みの判断:その日の魚の状態や、常連さんの好みに合わせた加減は、料理人の仕事です。
  • 低評価の口コミやトラブルへの対応:体調不良や異物の指摘には、店主が事実を確かめて自分で対応します。
  • 口コミの頼み方:消費者庁は、令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反になると案内しています6。Googleのヘルプでも、口コミと引き換えに無料や割引で商品・サービスを提供することは「虚偽のエンゲージメント」と見なされ、固く禁じられています7。AIに文案を作らせても、頼み方は人が決めます。具体的な対応は、所管の窓口や専門家にご確認ください。

最初の一歩におすすめ

いちばん手をつけやすいのは、口コミ返信の下書きです。たまった口コミへの返信から始めれば、1〜2週間で変化が見えます。スマホと生成AIがあれば始められ、費用も小さく済みます。

次におすすめなのが、週1〜2回の投稿です。アイドルタイムの15分で写真とひと言から投稿を作り、予約しておけば、忙しい週でも途切れません。

費用の面では、中小企業・小規模事業者向けに「デジタル化・AI導入補助金」が運営されています8。補助の内容や申請の時期は変わります。2026年11月2日時点の情報でも、最新の内容は公式サイトでご確認ください。

参考にした資料

  1. 株式会社帝国データバンク「企業の50.6%が正社員不足 4年連続で半数超 7業種で正社員不足が6割以上 非正社員は「旅館・ホテル」が大幅改善」(PR TIMES、2026年5月19日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001341.000043465.html ↩

  2. Web担当者Forum(インプレス)「店選びは“Googleマップ”が主流? 写真やクチコミが少ない店はスルーされる時代に【ニュートラルワークス調べ】」(2025年6月5日) https://webtan.impress.co.jp/n/2025/06/05/49478 ↩ ↩2

  3. 観光庁「令和5年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」調査結果」(2024年6月) https://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_00004.html ↩ ↩2

  4. 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月、調査実施は株式会社東京商工リサーチ) https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202603_AI_report.pdf ↩

  5. 農林水産省「食品ロスとは(食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢)」(令和6年度推計値、2026年11月2日確認) https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html ↩

  6. 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」(2026年11月2日確認) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/ ↩

  7. Google「クチコミを増やすためのヒント」(Google ビジネス プロフィール ヘルプ、2026年11月2日確認) https://support.google.com/business/answer/3474122?hl=ja ↩

  8. デジタル化・AI導入補助金(中小企業デジタル化・AI導入支援事業)事務局 公式サイト(2026年11月2日確認) https://it-shien.smrj.go.jp/ ↩

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