業種別のAI活用

工務店・建設業のAI活用

見積、現場写真の整理、施工記録、職人さんの確保。社長と現場監督に集中する事務仕事をAIで減らします。

工務店・建設業の現場で、よく聞く悩み

  • 見積を作れるのが社長だけで、提出が遅れる
  • 現場写真が社員のスマホに散らばっている
  • 施工記録や報告書を夜に書いている
  • 職人さんも若手も採れない
  • 単価表を何年も見直せていない

工務店・建設業のユースケース(3件)

この業種でよくある状況

地方の工務店やリフォーム会社では、社長が営業、現調、見積、現場の段取りまでを一人でこなしていることが珍しくありません。日中は現場とお客さま対応、事務仕事は夕方から、という一日が当たり前になっています。

書類の種類も多くあります。見積書、工事の契約書類、工程表、施工中の写真、完了報告書、保証書。国交省の事例集では、大阪市の建設会社が業務を分析したところ、現場監督の業務のうち約55%を書類業務が占めていることが分かったと紹介されています1。1社の分析ですが、現場を回す人の時間の多くが書類に取られている様子がうかがえます。

人の面では、国交省の資料で、60歳以上の技能者は全体の約4分の1(25.8%)を占め、10年後にはその大半が引退することが見込まれるとされています2。働き方のルールも変わり、令和6年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました3。時間外労働は原則として、月45時間、年360時間までとされています3。

見積の決まりも変わりました。改正建設業法の見積りに関する規定などが令和7年12月12日から施行され、材料費・労務費・法定福利費などの内訳を書いた見積書を作る努力義務や、通常必要と認められる額を著しく下回る見積りの禁止が定められています4。

人を増やしにくいなかで今の仕事量をこなすには、事務の時間を減らすことが避けて通れません。国交省の資料でも、ICT(デジタルの道具)の活用状況にはばらつきがあり、特に中小規模の建設業者のICT活用を推進していく必要があるとされています2。

AIで変えやすい仕事

  • 見積書のたたき台づくり:過去の見積と単価表をもとに、現調メモから項目と数量の候補を並べられます。内訳の欄をそろえておけば、改正法の見積ルールにも備えやすくなります。くわしくは工務店の見積書づくりを、過去の見積×AIで短くをご覧ください。
  • 現場写真の整理と報告書づくり:写真に写っている内容(工程・部位)をAIが読み取り、フォルダ分けや報告書への貼り付けを手伝います。
  • 施工記録・日報の作成:現場で話した音声メモから、決まった形式の記録に整えられます(日報・記録・報告の悩み)。
  • お客さまへの説明文:工事内容や追加工事の説明を、専門用語を使わない文章に直せます。
  • 求人原稿:会社の良さや仕事の中身を聞き取って、伝わる求人原稿にまとめられます(求人票づくりの使い方)。
  • 月々の数字のまとめ:会計ソフトから書き出した数字を、工事ごと・月ごとの表にまとめるのを手伝います(月次の数字の使い方)。

まだAIに任せにくい仕事

  • 現場の判断:建物の傷み具合、解体後に見つかる不具合、近隣への配慮は、現場を見た人にしか判断できません。
  • 構造や法令にかかわる判断:構造計算、建築確認、安全管理にかかわる判断は、資格を持つ人の責任で行う領域です。AIは調べものの補助にとどめます。
  • 見積の最終判断:労務費や経費をどこまで見込むか、値引きにどう応じるかは、改正法の決まりもふまえて社長が決めます。AIのたたき台は、安く見せるためではなく、項目の抜けを防ぐために使います。
  • お客さまとの信頼関係:最初の訪問や、トラブル時の説明は、社長や担当者の顔が見えることに価値があります。

最初の一歩におすすめ

いちばん効果が見えやすいのは見積のたたき台づくりです。過去の見積書がExcelやPDFで残っていれば、1〜2ヶ月で形にすることを目安にしています。台帳と単価表を作る途中で、単価をいつ見直したかも見えるようになります。国交省の事例集が改善を求める「単価を見直さない据え置き」を防ぐ手がかりにもなります5。

次におすすめなのが現場写真の整理です。社員のスマホに散らばった写真を、共有フォルダに集めて現場ごとに分けるだけでも、報告書づくりの手間は変わります。

法令にかかわる具体的な対応は、所管の窓口や専門家にご確認ください。

参考にした資料

  1. 国土交通省 不動産・建設経済局建設業課「情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針(ICT指針)に関する事例集」事例No.2(2025年3月) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001851357.pdf ↩

  2. 国土交通省 不動産・建設経済局「改正建設業法『令和7年12月施行分』説明会」資料(2026年1月) https://roumuhi.mlit.go.jp/mlit-files/20260127_01.pdf ↩ ↩2

  3. 厚生労働省「事業者(一人親方含む)向け:建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています」(建設業従事者の長時間労働改善に向けたポータルサイト) https://kensetsu-roudou-jikan.mhlw.go.jp/kensetsu_overtime.html ↩ ↩2

  4. 国土交通省 不動産・建設経済局建設業課長ほか「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律の全面施行について(通知)」(2025年12月10日) https://roumuhi.mlit.go.jp/mlit-files/20251226_26.pdf ↩

  5. 国土交通省 不動産・建設経済局建設業課「通常必要と認められる労務費を著しく下回るおそれのある取引事例集」(2026年1月) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001976084.pdf ↩

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