業種別のAI活用

農業・食品加工のAI活用

商品説明、発送のお知らせ、問い合わせの返信。収穫の合間に手が回らない「書く・返す」仕事をAIで軽くします。

農業・食品加工の現場で、よく聞く悩み

  • 収穫や出荷の時期に、電話とメールの問い合わせが重なる
  • ネットショップの商品説明が、去年のまま更新できていない
  • 家族と少人数で、作る・売る・発送するを全部こなしている
  • 加工品を始めたいが、許可や表示のルールが分からない
  • 新しく来た人に、作業の段取りを教える時間がない

農業・食品加工のユースケース(2件)

この業種でよくある状況

地方の農家や農業法人では、代表が畑の段取りから選果、出荷、売り先とのやりとりまでを受け持ち、家族や少人数の従業員で回していることが多くあります。収穫期は朝から晩まで畑と選果場にいて、事務は夜にまとめて片付けます。

担い手は減り、高齢化も進んでいます。農林水産省の統計では、基幹的農業従事者は令和8年に98.7万人、平均年齢は67.7歳と推定されています1。

一方で、売り方は広がっています。JAや市場への出荷に加えて、直売所、ネット販売、ふるさと納税、ジャムやジュースなどの加工品と、自分で値段をつけて直接売る道を持つ経営体もあります。農林業センサスを分析した資料では、自営の農産物直売所やインターネットで直接販売を行った経営体の数は、2015年から2020年にかけて全体では11.7%減った一方、団体経営体では19.6%増えていました2。農林水産省の6次産業化総合調査では、令和6年度の農業生産関連事業(農産加工、農産物直売所、観光農園、農家民宿、農家レストランの合計)の販売金額は2,224,434(100万円)で、うち農産物直売所が1,134,381、農産加工が1,006,107(いずれも100万円)でした3。

直接売ると、商品説明、発送のお知らせ、問い合わせへの返事といった「書く・返す」仕事が増えます。さらに食品には表示のルールがあります。消費者庁は、食品表示基準ではECサイトの食品表示情報の掲載は対象外だとしたうえで、ECサイトでどのような情報をどの程度提供すればよいかの考え方を、事業者向けの参考ツールとしてガイドブックにまとめています4。

AIで変えやすい仕事

  • 商品説明と季節のお知らせ:畑で話した音声メモと商品の基本情報表から、ネットショップの説明文、発送開始のお知らせ、直売所のPOPの文を下書きできます。くわしくは農家の直販の商品説明と問い合わせ返信を、AIの下書きで収穫期も回すをご覧ください。
  • 問い合わせへの返信:「いつ届くか」「どう保存するか」など、よく聞かれることの答え集から返信の下書きを作れます。消費者庁のガイドブックも、ECサイトに食品表示の情報を載せるメリットとして、問合せ対応が軽減されることを挙げています4(電話・問い合わせ対応の悩み)。
  • 作業の手順書:収穫や選果、袋詰めの段取りを聞き取り、写真つきの手順書や、外国人スタッフにも伝わりやすい言葉の手順書にまとめられます(外国人スタッフ向けの手順書づくり)。
  • 売上や出荷の数字のまとめ:品目別・売り先別の売上を表にまとめ、前年との違いを文章で説明させる使い方もできます(毎月の数字をまとめる使い方)。

まだAIに任せにくい仕事

  • 畑と作物の判断:収穫のタイミング、病気や害虫への対応、天候を見た段取りは、畑を見ている人にしか判断できません。
  • 加工と表示の線引き:厚生労働省のQ&Aでは、農業者が自ら生産したものを未加工で直売所や通信販売などで売ることは、食品衛生法上の「採取業」の範囲とされ、営業の許可や届出の対象外です5。一方、カット野菜や茹で野菜など、消費の利便性のための調理や切断はその範囲外とされています5。消費者庁のガイドでは、単品の野菜を単に切断したものは生鮮食品、複数の野菜を混ぜ合わせたものは加工食品と整理されています6。どこからが加工で、何を表示するかはAIに決めさせず、保健所など所管の窓口に確かめます。
  • 品質をうたう言葉:景品表示法の優良誤認表示は、実際のものよりも著しく優良であると示す表示のことです。消費者庁は食品の例として、ブランド牛ではない国産牛肉を有名ブランド牛の肉であるかのように表示して販売していた例を挙げています7。AIの文は、品種・産地・等級を記録と照らしてから載せます。

食品の表示や許可など、具体的な対応は所管の窓口や専門家にご確認ください。

最初の一歩におすすめ

いちばん始めやすいのは、商品の基本情報表づくりと、それをもとにした商品説明とお知らせの下書きです。品種、産地、規格、内容量、保存方法、発送の時期を一つの表にまとめておけば、AIの下書きを確かめる物差しになり、どの売り場の文にも使い回せます。

収穫期に入ってからでは手が回らないので、始めるなら端境期や冬のあいだがおすすめです。1〜2ヶ月あれば、次の収穫期には問い合わせの返信まで形にできます。

参考にした資料

  1. 農林水産省「農業労働力に関する統計」(2026年11月2日確認) https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html ↩

  2. 農林水産省 農林水産政策研究所「農業生産関連事業の展開に関する分析」(【センサス分析】研究資料 第6章、2023年12月) https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/project/attach/pdf/231215_R05census_07.pdf ↩

  3. 農林水産省「6次産業化の動向(6次産業化総合調査 令和6年度)」 https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/23.html ↩

  4. 消費者庁「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブックについて」(2022年6月) https://www.caa.go.jp/notice/assets/food_labeling_cms202_220615_04.pdf ↩ ↩2

  5. 厚生労働省「農業及び水産業における食品の採取業の範囲について」別添「食品の採取業に関するQ&A」(2023年2月6日) https://www.mhlw.go.jp/content/001052832.pdf ↩ ↩2

  6. 消費者庁「食品表示ガイド 早わかり 令和7年4月版(事業者向け)」(2025年4月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pamphlets/assets/food_labeling_cms201_250512_02.pdf ↩

  7. 消費者庁「優良誤認とは」(2026年11月2日確認) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation ↩

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