業種別のAI活用

介護・福祉のAI活用

記録、申し送り、求人、家族への連絡。ケアの時間を削っている「書く仕事」を、AIで軽くします。

介護・福祉の現場で、よく聞く悩み

  • 記録を書く時間が足りず、残業や休憩中の記録づけになる
  • 申し送りの聞き直しや、記録の書き方のばらつきがある
  • 求人を出しても、介護職が集まらない
  • 加算や補助金の書類が分かりにくく、後回しになる
  • 新人や外国人職員に、手順を教える時間がとれない

介護・福祉のユースケース(3件)

この業種でよくある状況

介護の仕事は、地域ごとの事業所が支えています。国の調査(令和6年)では、訪問介護が37,264事業所、通所介護が24,585事業所、地域密着型通所介護が18,921事業所、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)が14,341事業所あります1。

人手の不足は、多くの事業所に共通する悩みです。介護労働安定センターの令和6年度の調査では、従業員が「不足」とする事業所は65.2%で、前年度の64.7%より上がりました2。第9期介護保険事業計画にもとづいて都道府県が推計した必要数を国が集計すると、介護職員は2022年度の215万人に対して約240万人(約25万人増)、さらに先の見通しでは約272万人(約57万人増)が必要とされています3。

採用だけでは追いつかないなかで、職員の時間を使っているのが記録や書類です。ケース記録、申し送り、サービス提供記録、家族への連絡、加算の書類。ケアのあとにまとめて書くため、残業や休憩中の記録づけが続いている事業所もあります。新聞の社説でも、「小規模な介護施設では取り組みが遅れており、国の支援が求められる」と主張されています4。

AIで変えやすい仕事

  • 介護記録の下書き:ケアの合間にスマホへ話した内容を、AIが記録の欄に沿って整えます。パソコンの介護ソフトで「利用者情報(ケア記録・ケアプラン等)の入力・保存・転記の機能」を使う事業所は全体で75.4%と報告されており2、今のソフトのまま「書く」を「話す」に変えられます。タブレット・スマホの「入力した音声を文章(テキスト)に変える機能」を日常的に使う事業所は全体で13.0%で、話して入れる使い方はまだ少数です2。くわしくは介護記録の入力時間を、音声メモ×AIの下書きで減らすをご覧ください。
  • 申し送りの要約:その日の記録から、夜勤や翌日の担当に伝える要点をまとめます。
  • 求人原稿:事業所の雰囲気や働き方を聞き取り、伝わる原稿にまとめます(求人原稿づくりのユースケース)。
  • 新人・外国人職員向けの手順書:入浴介助や記録の書き方の手順を、やさしい言葉でまとめます(外国人スタッフ向けの手順書づくり)。
  • 家族への連絡文やお便り:行事の案内やご様子のお知らせの文案を作ります。送る前に職員が中身を確かめます。

まだAIに任せにくい仕事

  • 利用者の状態の判断とケアの中身:体調の変化、受診が必要か、ケアプランをどうするかは、看護職・ケアマネジャー・管理者が判断します。AIは記録と整理の係にとどめます。
  • 加算や運営基準の判断:令和6年度の介護報酬改定で生産性向上推進体制加算が新設され、厚生労働省の解説資料では、対象として短期入所系・居住系・多機能系・施設系のサービスが挙がっています5。自分の事業所が対象になるか、どの機器が要件に当たるかは、告示・通知で確かめ、所管の窓口に確認します。
  • 利用者・家族との関係づくり:入居の相談、体調が変わったときの説明、看取りの話し合いは、顔の見える職員が担う仕事です。
  • 個人情報の扱いの判断:利用者の名前や病状を生成AIに入れるかどうかは、法人としてルールを決めておく必要があります(AIを使うときの注意点)。

最初の一歩におすすめ

いちばん効果が見えやすいのは介護記録の下書きです。介護ソフトを入れ替えず、事業所のスマホと生成AIの法人向けプランで、1つのユニットや数人の職員から試せます。2〜3ヶ月で、ふだんの記録に使える形になります。

次におすすめなのが求人原稿の見直しです。今の職員に「この事業所のいいところ」を聞き取ってAIで原稿にまとめるだけでも、伝わり方が変わります。記録の時間が空けば、そのぶんを利用者と過ごす時間や、新人の育成に回せます。

具体的な対応は、所管の窓口や専門家にご確認ください。

参考にした資料

  1. 厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の結果の概要」(2024年10月1日現在) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service24/dl/kekka-gaiyou_1.pdf ↩

  2. 公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について(資料提供)」(回答事業所 8,978、2025年7月28日) https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf ↩ ↩2 ↩3

  3. 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年7月12日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41379.html ↩

  4. 神戸新聞「<社説>持続可能な介護/先端技術の導入に支援を」(2026年10月25日) https://www.kobe-np.co.jp/opinion/202610/0020964473.shtml ↩

  5. 厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定 生産性向上推進体制加算について 生産性向上推進体制加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)の解説(R8.3更新)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001280909.pdf ↩

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